NHK 稲葉延雄 会長に対する公開書簡
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2025 年1 月6 日
日本放送協会 会長 稲葉延雄 様
「日本の真の独立を目指す有識者会議」(ECAJTI)
〒103-0005 東京都港区西新橋 2-13-14 新佐久間ビル 3 階
NHK 稲葉延雄 会長に対する公開書簡
拝啓
初めてお便りさせていただきます。
われわれは、日本の国の真の独立を目指して、昨年春に、有志が集まって発足した有識者会議であります。
昨年は、サンフランシスコ講和条約が発効した 4 月 28 日に、われわれの第一弾の活動といたしまして、日米両国首脳に対する公開声明「新しい日米関係の在り方」を発出いたしました。
われわれは現在の日本が真の独立国とは言えないとの認識に立っております。
わが国は、経済力や国民の知的能力など、真の独立国になるための総合的な国の潜在力はすべて持っていますが、足りないのは、ただ一つ、日本国民の多くがその気になっていないことだと考えております。
それでは、なぜその気になっていないのかと言えば、多くの国民が GHQ による徹底した洗脳からまだ抜け切れていないからです。
われわれ有識者会議の活動第二弾を、稲葉 NHK 会長あての公開書簡といたしましたのは、 GHQ による洗脳によって歪められた日本国民の歴史認識に関わる問題だからであります。
わが国の多くの国民が、今日に至るまで、 占領期に植え付けられた自虐史観から脱却できずにおり、 その結果、 自らの国を貶めるような行動をとる人々が多数存在することになってしまったのは、言うまでもなく、戦後、GHQ による日本国民に対する徹底的な洗脳作戦が展開されたためであります。具体的には、GHQ 参謀第 2 部(G2)民間情報局(CIE、局長=ケネス・ダイク大佐)による「戦争犯罪情報プログラム」(”War Guilt Information Program”, WGIP)に基づいて、日本人に対して戦争犯罪を植え付けるための徹底的な洗脳工作が展開されました。
新聞、ラジオ、映画などあらゆるメディアに対する洗脳工作が、 内幸町にあった NHK 放送会館内に陣取った GHQ/ CIE によって行われました。
当時の NHK 東京放送会館の建物の正面には、NHK のコール・サインである JOAK と進駐軍放送(AFRS)の東京キー局のコール・サインである WVTR の大きな看板が、同じ大きさで 2 つ並んで掲げられていまし
た。
すべての日本のメディアが、GHQ による日本国民の洗脳工作に加担させられたわけですが、NHK こそその最たるものです。
GHQ は、CIE 企画課(課長=ブラッドフォード・スミス)が執筆した『太平洋戦争史』という冊子を日本国民に対する洗脳のバイブルとして使いました。 これは、巨視的な視点からの歴史の本と言えるようなものではなく、日米間における個別の戦闘の時系列を追ったに過ぎないもので、その中で、日本軍の無謀性や残虐性を国民に植え付けようという意図を隠し持ったものです。
この翻訳版が、高山書院から 1946 年 4 月に発行され、10 万部が印刷され、学校の教科書として使われました。
さらに、GHQ は、この洗脳のバイブルを、新聞とラジオを通じてすべての日本国民に普及させました。
新聞の場合は、日本時間で日米開戦の日にあたる 1945 年 12 月 8 日から 10日間にわたって、大新聞 5 紙で毎日全 2 ページを使い、 10 日間にわたって連載させ、 結局、『太平洋戦争史』の翻訳版(本文 158 ページ)の全文を掲載させられたことになります。
NHK の場合は、 CIE が企画し、『太平洋戦争史』を劇仕立てにした 30 分間のラジオ番組『眞相はかうだ』として、1945 年 12 月 9 日(日)から、毎週日曜日の夜の 8 時からのゴールデン・アワーでの放送が開始されました。
その後、同番組終了後も、『眞相はかうだ 質問箱』、『眞相箱』、『質問箱』、『インフォメーション・アワー』と、企画と名を変えながら、1952 年 4 月 28 日に占領が終了する頃まで、徹底的な洗脳工作が展開されました。
このように、GHQ の洗脳工作は、あたかも日本人の頭の中に入り込んで思想の絨毯爆撃を加えるかのように、新聞とラジオを通じて徹底して繰り広げられました。
ですから、「太平洋戦争」という用語は、いわば GHQ 洗脳用語の「一丁目一番地」に当たりますので、われわれとしては、日本人として決して使ってはならない用語であると理解しております。
しかしながら、NHK は、先の戦争について報道する際、今でも必ず「太平洋戦争」と表現しています。我々から見れば、これは、いわば「われわれ NHK スタッフの頭の中は、いまだに戦後 GHQ から洗脳されたままでございます」と言っているようなものです。NHK は、恥を知らない人たちの集団なのでしょうか。
また、メディアに対する検閲も、 戦前・戦中の日本政府によるもの以上に徹底して行われました。
これは、GHQ/ G2 の民間諜報局(CIS)民間検閲支隊(CCD)が担当しました。
すなわち、洗脳部隊は CIE、検閲部隊は CCD が、それぞれ担当したのです。 新聞、ラジオ、映画等々はすべて事前検閲され、また、 出版については、 禁書(焚書) に指定された図書も、7,000 冊余りに達しました。GHQ による日本統治は、基本的には間接統治でしたが、洗脳と検閲に関しては、GHQ による直接統治が行われたのです。
然るに、日本のメディアは、今日に至るまで、こうした事実をほとんど国民に知らせてきませんでした。
江藤 淳によれば、日本の大新聞が、 GHQ による検閲を社説で認めたのは、憲法施行 50 周年の年である 1997 年 3 月 30 日付けの『読売新聞』が初めてと言います。
実に、戦後、50 年以上が経過した時点でした。その社説のタイトルは、「言論管理下の“戦後民主主義”」というものですが、 「言論管理下」と言うのは、余りにも穏やか過ぎる表現です。
占領下では、 世界史でも前例のないような極めて徹底した厳しい言論統制が日本列島全体に対して行われたのです。
また、2022 年 4 月 28 日(主権回復 70 年の日)には、『産経新聞』が社説(「主張」) 「占領の呪縛を解くときだ:ウクライナの悲劇から学べ」で、日本人がいまだに GHQ の呪縛に囚われていることについて述べ、それから脱しなければならないという趣旨を述べました。
占領軍の言論統制について、新聞の社説として、これまでで一番踏み込んだ表現をしてくれましたが、これも不十分で、「半歩前進」と言えるかどうかも分からない内容です。
いずれにせよ、これらだけでは全く不十分です。 占領下で強制されたのですから、当時のジャーナリストには責任はありません。
この件に関して、責任があるのは、 1952 年 4 月 28日、GHQ が去った後にジャーナリストとして活動されたすべての人々です。
彼らは、今日も、 日々、読者や視聴者に対して不作為の罪を積み上げ続けていることになります。 国民に対する大いなる不作為の罪と言わねばなりません。
メディアが、自らを公器と称するのならば、戦後 GHQ による日本国民の洗脳工作に加担させられた事実を告白・懺悔することは、国民全体に対する厳粛な義務です。
このように巨大な罪を積み上げてしまった日本のメディア各社ですから、今後、一度くらい、この問題を報道するということでは、とても罪滅ぼしにはなりません。
今後、毎月、あたかも「月命日」のように、然るべき記念日に、大特集を継続的に組むぐらいのことをしてほしいと考えます。
新聞各社の場合には、 『太平洋戦争史』 の掲載が始まったのが 12 月 8 日ですから、「月命日」は 8 日でしょう。NHK の場合には、ラジオ番組『真相はかうだ』が始まったのが 12 月 9 日ですから、9 日を「月命日」としては如何ですか。
すなわち、毎月9 日に、GHQ による洗脳工作の実態を伝える大特集を組んで報道し、それを何年間か続けていただくということです。
それが実現すれば、 日本国民がかかった GHQ の洗脳から脱出することができ、自虐史観はかなりの程度是正されることになるでしょう。
実は、NHK のかつて最高幹部まで上り詰めた人が、終戦から 20 年余りを経た時点で、自らの著書ですでに告白・懺悔しているのです。
それは、終戦時、NHK 演劇部の副部長だった春日由三(かすが・よしかず)氏で、同氏は、自分の意に反して、実際に『眞相はかうだ』の放送を担当させられました。
春日氏は、最終的には、専務理事・放送総局長になられ、NHK 第一回紅白歌合戦の審査員長も務めれた人で、まさに、 1950 年代から 1960 年代前半にかけて、NHK の制作部門のエースだった人です。
当時、NHK 初の生え抜きの会長になるかもしれないとまで言われた人でした。
ここでとり上げる春日さんのご著書は、『体験的放送論』と題するもので、 1967 年 1 月、日本放送出版協会(現 NHK 出版)から発行されました。その中に、「〈真相はこうだ〉の真相:CIE 監督下の放送」(pp. 267-274)という全 8 ページにわたる一節があります。
そこで、春日氏は、「私にとっては一種の罪滅ぼしと言ったものかもしれないが、ある意味での放送史の隠れた一頁であることは確かである」と述べています。
すなわち、この時点で、春日氏は、泣く子も黙る GHQ/ CIE によって強制的に『眞相はかうだ』という番組に関与させられた経緯とご苦労話を吐露することによって、 GHQ による日本国民に対する洗脳工作に、NHK が加担させられたことを、事実上、告白・懺悔しているのです。
春日氏は、この著書の発行の数年前に NHK を退職されたようですが、 この本の出版社は、現在の NHK 出版の前身に当たるところです。
ですから、われわれが、本書簡で、 NHK に対して要求していることは、 換言すれば、 NHKの大先輩である春日由三氏(1911~1995 年)の 58 年前の認識と精神に立ち戻れということでもあるわけです。
以上、述べてきましたように、われわれ有識者会議は、NHK が戦後 GHQ による日本国民の洗脳工作に加担させられたことを、日本国民に対して告白・懺悔することを強く要求いたします。
これは、NHK が、戦後 80 年間にわたって日本国民全体に対して負い込んでしまった巨大な負債を返済するということでもあります。
われわれの国を想う今回の切実な要求に対する貴協会からの明確なご返事を頂戴したいと思います。
われわれは、わが国の将来にとって極めて重要な問題をこの書簡で提起しているつもりですので、NHK としても正面からこの問題に向き合い、熟慮の上、英断を下していただきたいと考えます。
NHK 内部の調整にかなりの時間を要するであろうことは十分理解できますので、 2025 年4 月 28 日までにご回答いただければ幸いであります。
この日は、サンフランシスコ講和条約が発効してから 73 周年に当たる日です。
本来、日本のメディアが、73 年前に告白・懺悔しなければならなかった日でもあります。また、この日は、本来、日本の国として、独立記念日にしなければならなかったと考えますが、それをしなかったという意味で、われわれは、この日を、「悔恨の独立記念日」と呼んでおります。
最後になりましたが、寒さの厳しい季節になってまいりました。どうぞご自愛ください。
敬具
〔添付資料〕
春日由三(著)『体験的放送論』(日本放送出版協会、1967 年)の一節「〈真相はこうだ〉の真相:CIE 監督下の放送」(pp. 267-274)の部分および奥付のコピー
「日本の真の独立を目指す有識者会議」(ECAJTI)
創立メンバー
議長 小堀桂一郎、東京大学名誉教授・文学博士
副議長 田中英道、東北大学名誉教授・文学博士
副議長 山下英次、大阪市立大学名誉教授・経済学博士
有識者議員 田母神俊雄、田母神事務所代表、元航空幕僚長
有識者議員 松田 学、松田政策研究所代表、元衆議院議員
有識者議員 矢野義昭、日本安全保障フォーラム(JAFOS)会長、博士(安全保障)、元・陸上自衛隊陸将補
有識者議員(五十音順)
稲村公望、元・日本郵便 副会長
井上正康、大阪市立大学名誉教授・医学博士、健康科学研究所・現代適塾塾長、
今田忠彦、元・横浜市教育委員長
宇山卓栄、著述家
織田哲司、明治大学教授
小山和伸、神奈川大学教授・博士(経済学)
折本龍則、千葉県議会議員
小山常実、日本憲法史・教科書史研究者
北村 稔、立命館大学名誉教授・法学博士
久野 潤、日本経済大学准教授
高橋史朗、麗澤大学特別教授
田沼隆志、元・衆議院議員
坪内隆彦、ジャーナリスト、『維新と興亜』編集長
西村眞悟、元・衆議院議員
樋口隆一、明治学院大学名誉教授・哲学博士
一二三朋子、元・筑波大学教授・言語学博士
三輪和雄、「日本世論の会」会長
モーガン、ジェイソン、麗澤大学国際学部准教授、Ph. D.(米国ウィスコンシン大学)
茂木弘道、「史実を世界に発信する会」代表
諸井真英、埼玉県議会議員
諸橋茂一、 「教育を考える石川県民の会」会長
山中 泉、(一社)IFA 代表理事
山本優美子、(一社)国際歴史論戦研究所(iRICH)所長、なでしこアクション代表
賛同者(五十音順)
阿部芳男、日本会議 東京都板橋支部長・農学博士
荒木田 修、弁護士
石井希尚、エデュテインメント一座 HEAVENESE 代表、Committed Japan 牧師
伊勢雅臣、 「国際派日本人養成講座」発行者
漆原亮太、 (株)啓文社 代表取締役
大園義友、東京経営者倶楽部 代表
大場一央、早稲田大学非常勤講師・博士(文学)
大橋武郎、認定 NPO 法人「日本を護る会」理事長、元・航空自衛隊空将補
岡 真樹子、「愛国女性のつどい花時計」代表
奥本康大、(一社) 「空の神兵慰霊顕彰碑護持会」代表
木上和高、「教育を良くする神奈川県民の会」運営委員長
葛目浩一、新聞『アイデンティティ』主幹
込山久夫、新しい歴史教科書をつくる会 東京支部長
新藤加菜、東京都港区議会議員
鈴木静雄、(一財)ひと・住文化研究所 代表理事
田上久大、国土情報社 社長
高岡功太郎、(一社)板垣退助先生顕彰会 理事長
永田壮一、千代田区区議会議員
中村恵子、健康・環境デザイン研究所 所長
中村敏幸、近現代史研究者
中村 稔、(一財)日本安全保障フォーラム(JAFOS) 理事
服部 剛、中学校教諭、「授業づくり JAPAN 横浜(中学) 」代表
林 弘明、「尖閣諸島を守る会」会長
日髙裕明、(株)ハート出版 代表取締役
平岡龍人、学校法人 清風明育社 理事・文学博士
松木國俊、朝鮮近現代史研究所 所長
綿貫 洋
*署名者=計 56 名